イエティを探す旅に出る(仮)

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道州制について勉強

僕の住む北海道は、国からの権限移譲を主とした道州制の構想を掲げています。
それについて少し調べてみました。


定義はさておき、目的は前述の通り「権限移譲・地方分権」です。

地域によっては厄介な制度も全国一律のものであれば従うほかありません。補助金も中央からの恩賜とも言える構造にあり、自治体が国の意向に従わざるを得ない場面があります。結果、地方財政は厳しくなり人が東京に集まる構造となりました。これは地方の高齢化を招きます。

これを打破する手立てとして道州制が構想されはじめました。ポイントは決定権限・財源の移譲です。北海道では権限移譲により、行政の役割を今までの補助金の分配からサービスの提供へと切り替えようとしています。
そしてまず住民が自分達で助け合う社会を想定し、それをサポートするような形で自治体を存在させることが重要で、こうしてコミュニティを再生していくことで地域社会を活発にしていこう、というのが北海道の方針のようです。

ちなみにコミュニティ活性化の方策として次のようなものが挙げられています。
コミュニティビジネス(公的ニーズに対し住民自らが事業を興し対応)
・コミュニティハウスプロジェクト(高齢者や障害者、母子などが一緒に生活し支え合う)

また、コンパクトシティというまちづくりが考えられています。地域の中で集まって住む場所をいくつか決め、そこから歩いていけるところに日用品・サービスを供給する活発なコミュニティ活動実践の場を作るというプランです。



このように道州制導入に積極的な北海道ですが、当然疑問もあります。
東京から各地へ権限移譲が進むとのことですが、それは地方の中での一極集中が起きないと言えるでしょうか。補助金の配分からサービスの提供とは言っており問題はないと仮定しても、逆に北海道という枠組みの必要性が問われてきます。これについては今までの国の役割が道州に移るとのことですが、しばらくは混乱が予想されます。
合併についても考える必要があります。よく言われることですが、市町村合併は小さな自治体の声が抑え込まれる恐れがあります。それに対する保障も十分に用意しておくことが肝要だと思います。
そして私が一番心配なのが、「自ら発展を目指す社会を住民の手で作ることが可能か」という点です。北海道は住民の自発的な参加からコミュニティ再生を目指していますが、そこにはある種の自己犠牲が必要になってきます。それらをビジネスとして扱うにしても、それがコミュニティ再生にどうつながるのかは疑問が残ります。

しかし僕自身も、道州制は置いておくにしても北海道は権限移譲の方向で進めていく必要があると考えています。北海道の喫緊の問題は財政です。補助金があるとはいえ、毎年冬は本州の人には想像できないほどの天候に悩まされます。また広い土地がインフラの問題を生み福祉の実現を阻みます。ある種の起爆剤として、楽観的に過ぎるかもしれませんが、住民が自治を意識していくことでコミュニティ再生に向かっていってほしいです。
道州制を進めるとすれば、財政にさらに大きな責任を持つ必要が出てきます。最近よく話題にされるブランド化・第六次産業を取り入れた独自性のある積極的な「貿易」をしていくことで財政を立て直していけることを期待しています。

これまで経済的な問題ばかりに目が向けられてきましたが、コミュニティを再生するというのは人と人との情緒的なつながりをも復活させるチャンスだと思います。一人一人が自分に与えられた役割を意識することでコミュニティへの帰属意識を獲得していくことは、強いリーダーを必要としない(=助け合いでなんとかできる)新しい社会を作っていくことにつながるのではないでしょうか。