イエティを探す旅に出る(仮)

ブログ名と内容は一切関係ありません。主に音楽、政治、哲学、お酒の話をします。

新書の紹介

デジタルなモノの扱いが非常に苦手な僕ですが、このブログのデザインを変えてみました。でもフォーマットの選択しかできず無念です。

 

先日紹介した「だから日本はズレている」(古市憲寿著、新潮新書566)を読了しました。

 

拍子抜けしたというのが正直なところです。全体的に聞いたことのあるような社会分析であり、目新しさは感じませんでした。ただ友人も言っていたのですが、漠然と思っていた市民の声を1つの形にしたという印象を受けました。本人のいう「はっきり言語化されてこなかったことの再構成」がピッタリな本です。

 

筆者がシニカルに批判する「我々」はこの本を読んでニヤッとさせられることはあっても、普段の自分を省みるということをしないだろうなと思い自己反省に至るところです。皮肉が上手だなあと思わせてくれるところに彼のよさが表れていると思います。これは実際に読んでみないとわからない感覚ではあります。

 

筆者の指摘するように、実は「社会の役に立ちたい」という若者はオトナが考えているよりも多いと思います。それは自分が大学というところに通って実感することであり、食べ物に困窮するといったことがほとんどなく幸福感を感じる若者の割合が増えているという事実からも納得です。「静かな変革者」の持つ「地道に社会を変えていこう」とする姿勢が更に広がっていくといいなと思いつつ、「『静かな変革者』と対称的」な「自称『保守』」批判は飛躍があるのではないかと感じました。

 

筆者は若者の代弁者として持ち上げられているけれど、若者こそこの本に書かれているような事実を直視していくべきでしょう。若者には社会は変えられない。諦めではなく、若者が今不自由に感じている「気分」を、自らが「おじさん」になったときにそれを打開していく志とするために不断に記憶しておくことが重要なのだと僕は思います。

 

「若者」についての分析は「絶望の国の幸福な若者たち」(同著者)という本にも詳しいようなので、時間を見つけて読んでみたいなと思います。